日本のプロ野球で使われているボールについて解説




日本のプロ野球で使われているボールについて解説します。現在のプロ野球の試合で使われているボールは12球団で統一されています。しかし2011年以前に使われていたボールは主催球団の判断によってそれぞれ違うボールをが使用されていました。歴史なども踏まえながら解説を進めていきいます。

(1)統一球が使われる前は複数社のボールが使われた
(2)飛ぶボール問題
(3)国際試合へ対応するためのはずだった統一球
(4)2013年に統一球が変更されたが…?
(5)2014年以降も…?

(1)統一球が使われる前は複数社のボールが使われた



2010年まではミズノ、ゼット、アシックス、久保田運動具店、那須スポーツ、SSK、松勘工業の7社。2010年はミズノ、ゼット、アシックス、久保田運動具店の4社の中から主催球団の判断によって使うボールのメーカーが選ばれていました。メーカーによって製造方法や材質が多少、異なるために「飛びやすい/飛びにくい」「握りやすい/握りにくい」といった機能面に違いがあります。

(2)飛ぶボール問題



メーカー毎のボールの個性が時に問題を引き起こすこともあります。2000年代前半、ミズノ製のボールが他社製と比較して飛距離が出やすく議論が巻き起こりました。例えば東京ドームでの1試合あたりの平均本塁打の数字になりますが1988年は1.31本だったのに対して、ミズノ製のボールを使用していた2004年は3.43本本塁打率が2.6倍以上に増加しました。2003年にミズノ製のボールを導入した横浜ベイスターズも、前年比で本塁打数が95本も増加しました。そのため2004年の中日ドラゴンズは、対戦相手によっては飛びにくいボールに切り替えて対処していました。

(3)国際試合へ対応するためのはずだった統一球



加藤良三コミッショナーによって、2011年からミズノ製の低反発ゴム素材で作られた統一球が全球団に導入されました。各球団によって異なるボールを使う批判への対処や、WBCをはじめとした国際試合への対応能力を高めることが目的でした。しかし導入当初はメジャーリーグで使われているボールの基準値を大幅に下回る反発地のため両リーグ合わせた本塁打数が激減してしまったり、著しい投高打低をうみだしてしまったり目的を果たしたとは言い難い結果になってしまいました。

ボールがあまりにも飛ばないために選手たちの成績にも大きな影響が出しました。小久保裕紀氏、柴原洋氏、小笠原道大氏、和田一浩氏といった当時の大打者達が統一球への対応に苦しみました。

(4)2013年に統一球が変更されたが…?



2013年に入り統一球の仕様が変更されました。前年まで減少していた本塁打の数が増え始めました。反発係数が修正されたのですが大きな問題が発生しました…。それはNPB側が無断で、統一球の仕様を変更してしまいました。

統一球の変更が発覚した経緯は選手たちからの「今年はボールが飛ぶ」という声からでした。選手たちを対象にアンケートを取った結果、73%が飛ぶようになったと回答。1試合あたりの平均本塁打数も増加。実際にボールを割って検証した結果、中心のコルク材の感触が変わっていました。

NPB側がミズノ側に統一球の仕様を変更したことを公表しないように隠蔽していた姿勢が、大きな問題となりました。ボールの仕様は選手たちの成績、そして生活にも直結するため批判が巻き起こりました。結果、加藤良三コミッショナーが辞任に追い込まれる自体にまで這ってしました。

(5)2014年以降も…?



2014年も反発係数で問題が起きました。抜き取り検察の結果、基準値を大きく上回るボールが発覚して違反球が発見されました。先述の通りボールの仕様は選手たちの成績に直結するので、製造技術の発達によりバラツキの少ないボールが供給することを心から願いたいと思います。