本日はプロ野球ファンでも意外と詳しく把握していないDHについて解説します。NPBではパ・リーグではDHを導入していますが、セ・リーグでは導入していなかったり。「DHってよくわからない…」という方のために基本的なことから解説します。
(1)DHとは投手に代わって打席に立つ選手
(1-1)DHに偵察要因を入れることはできない
(1-2)DHは必ずしも使わなくていい
(1-3)パ・リーグ以外のDH導入例
(2)DHの有無で野球は変わる!
(2-1)DHがあるとアウトを楽に取れるイニングが減少する
(2-2)DHの有無で左翼手の守備力が異なる
(2-3)負担軽減の場にもDHが使われる
(2-4)DHの常識を打ち破った大谷翔平
(3)DHが万能じゃない場合も…!
(1)DHとは投手に代わって打席に立つ選手
まずはDHの役割から解説していきます。DHとは「Designated Hitter」の略語。守備には就かず、投手に代わって打席に立つ選手です。日本では指名打者と呼ばれるのが一般的です。
(1-1)DHに偵察要因を入れることはできない
DHとして先発起用される選手は必ず、相手の先発投手たと一度、対戦して打席を完了させなくてはなりません。DHに所謂、偵察メンバーを入れることはルールで禁じられています。実際、2011年5月20日の交流戦、オリックス・バファローズVS広島東洋カープ。広島東洋カープ側はDHに今村猛投手を偵察要因として起用して、先発投手と相性の良い打者に交代しようと目論みましたが試合開始前に釘を刺されました。
(1-2)DHは必ずしも使わなくていい
DHは必ずしも使う必要はないですし、場合によっては試合途中で解除することができます。しかし試合途中からDHを起用することは不可能です。
(1-3)パ・リーグ以外のDH導入例
NPBではパ・リーグがDHを導入していますが、他の事例もご紹介。まず海の向こうのMLBではア・リーグが採用しています。WBC、WBSCプレミア12といった世界大会。他にも日本国内では独立リーグ、社会人野球でもDHが導入しています。他にもユニークな例を出すと2014年のNPBでのセ・パ交流戦ではセ・リーグ主催試合側がDHを使い、パ・リーグ主催試合側がDH無しで行われました。
(2)DHの有無で野球は変わる!
DHの有無で野球の質自体が大きく変わると言っても過言ではないでしょう。それこそ先述、育成方法、チーム編成にまで大きく影響を及ぼします。
(2-2)DHの有無で左翼手の守備力が異なる
DHの有無は結果的に左翼手の守備力の差まで生み出します。セ・リーグでは打撃力重視の選手は左翼手を務めることが多いですが、パ・リーグでは主にDH。そのためパ・リーグの左翼手の守備能力はセ・リーグよりも高い傾向になります。
(2-3)負担軽減の場にもDHが使われる
「打撃は問題ないけど、怪我などで守備に影響がある…」といった主力の負担を軽減させるためにもDHが使われます。怪我だけでなく、酷暑の影響で疲労が溜まっている主力の負担を減らす場所としてもDHは効果的です。他にも期待の若手に打席を与えるためにDHを使う場合もあります。
(2-4)DHの常識を打ち破った大谷翔平
現在、ロサンゼルス・エンゼルスで活躍する大谷翔平投手はNPB時代にDHの常識を打ち破る活躍を見せました。大谷投手のNPB時代の所属チームはDHを導入しているパ・リーグの北海道日本ハムファイターズ。投打に渡って優れている大谷投手が出場する試合ではDHを使わずにそのまま打席に送る例も。また大谷投手がDHとして出場していた試合、DHを解除して大谷投手を抑えとして送りだしたことも。大谷投手を投打の二刀流で起用する方が、DHを使うメリットを上回ったのです。
(3)DHが万能じゃない場合も…!
DHを解説する過程で、強打者はオートマティックにDHに使わせたほうが良いと考えたのではないでしょうか?しかし野球をプレーするのは人間…これが中々、上手くいきません。プロ野球は奥が深く東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティン選手のように「守備でリズムを作らないと、打席で良い結果を残せない」というような強打者も存在します。このように機械的に選手を当てはめることができないのも野球の魅力だと言えるでしょう。