【必見】左投手の牽制について




試合の8割はピッチャーで決まると言われるほど重要な役割を担っています。ピッチャーは相手のチームに点を取られないため、点を取られたとしても最小失点で抑えなければいけません。相手のバッターを抑えるのはもちろんですが、その他、バント処理やフィールディング、牽制などのミスによる無駄な失点を防ぐために練習しなければいけません。
今回はその中でも左投手の牽制についてお話させていただきます。

  • (1)牽制のルール
  • (2)ボークルールの目的
  • (3)左投手の牽制のテクニック
  • (4)牽制のテクニック一覧
  • (4-1)顔振りの回数、間合いを変える
  • (4-2)セット時の歩幅を変える
  • (4-3)グラブの出し方を変える
  • (4-4)軸足の使い方を変える
  • (4-5)自由な足の使い方を変える
  • (5)最後に
  • (1)牽制のルール

    まず左投手ですが、牽制のルールについて説明させていただきます。以下のルールについては正しく理解しましょう。
    ・左投手は1塁牽制をする際には、自由な足をそのベース方向に足を踏み出さなかった場合にボークとなる。
    ・1塁ランナーがいる際に、※自由な足を振って投球板の後縁を超えたら打者へ投球しなければボークになる。
    ※「自由な足を振って投球板の後縁を超えたら」というのは軟式では自由な足が軸足と交差することが同意となっています。(競技者必携質疑応答・投手・塁への送球項)

    上記の2つは公認野球規則6.02項に記載されているルールです。しっかりと覚えておきましょう!

    (2)ボークルールの目的

    上記の他にもう2つ、知っておかなければいけないルールがあります。それは、「ボークルール」の目的です。

    【公認野球規則6.02項】
    ボークの目的は投手が”走者を意図的に騙そうとするのを防ぐため”である。このことを審判員は心に銘記し、もし審判員の判断で投手の”意図”に疑いを抱いたら、審判員はボークを宣言すべきである。

    【公認野球規則8.02項】
    審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるため、その裁定に対して、誰も異議を唱えることは許されません。

    この2つはとても重要です。例え牽制のルールに則って牽制を行なったとしても、その牽制が審判に「走者を意図的に騙そうとする行為」と判断されてしまったらボークとなってしまいます。また、その裁定に関しては、審判員による最終のものとなるため、誰も異議を唱えることができないのです。要はボークを取られてしまったらどれだけ抗議しても、納得がいかなくてもボークの判定が覆ることがありません。

    上記の点をしっかりと理解をした上で以下の内容を取り組んでください。

    (3)左投手の牽制のテクニック

    左投手の利点としては、1塁ランナーを目視できることです。目で抑えられるにも関わらず、ランナーに簡単に盗塁をされてしまうと、左投手のメリットを活かすことができていません。そこで今回は、私がプロまでやってきた中で培ってきたテクニックの部分を伝授いたします。何度もお伝えしますが、「審判員がランナーを欺く行為」と判断された場合はボークです。今回の目的は、「ランナーを欺く」のではなく、「盗塁をされないためのテクニック」という認識でご理解いただければ幸いです。

    (4)牽制のテクニック一覧

    ・顔振りの回数、間合いを変える
    ・セット時の歩幅を変える
    ・グラブの出し方を変える
    ・軸足の使い方を変える
    ・自由な足の使い方を変える

    (4-1)顔振りの回数、間合いを変える

    こちらは誰でもできる簡単なテクニックです。ランナーがいる時にピッチャーに出やすい「クセ」ですが、投げるリズムとタイミングが一定になることが多いです。リズムが一定になると、ランナーとしては、スタートがきりやすく盗塁しやすいです。またバッターにとっても「バッティングセンター」のように同じタイミングで投球するため、タイミングが取りやすくなります。
    その対処法として、「自分でリズムを変えること」です。首振りの回数を1回や2回、キャッチャーを見ながらセットに入るや、1塁ランナーを見ながらセットに入るなど、様々なバリュエーションを作ると良いです。また、投げるリズムを変えるために、セットに入る長さを1秒や2秒など、長さを変えて投球することでタイミングが取りづらくなるため、ランナーにもバッターにもおすすめです。

    (4-2)セット時の歩幅を変える

    セットポジションに入る歩幅って気にしたことありますか?歩幅を開きすぎると投球時やクイックモーションに入る時に重心移動しずらいというデメリットもありますが、通常よりも歩幅を広げて足を上げることで、軸足で立つ動作から投球or牽制が自然な動きとなるため、ボークを取られにくくなります。

    (4-3)グラブの出し方を変える

    足を上げる時にグラブの動き方が違う子が多く、投球時と牽制時にグラブの手の出し方が一塁方向なのか、キャッチャー方向なのかですぐにランナーに悟られてしまう人が多いです。練習として、グラブの出し方をキャッチャー方向に見せながら牽制ができるようになると、ランナーが迷うことが多いので是非取り入れてみてください。ポイントとしては、「前方の肩を投球と同じように動かす」です。(左投手は右肩、右投手は左肩)肩の動きを同じにし、グラブの使い方をより投球動作に近づけることで、ランナーに走られにくくなります。

    (4-4)軸足の使い方を変える

    これは特に軸足の膝になるのですが、投球に入る動作と牽制をする動作では、膝がキャッチャー方向に出すのと、1塁方向に出すのと変わる人がいます。特に投手の場合は、キャッチャー方向に膝を出すことで体重移動をして、力の伝わったボールが投げれるようになります。キャッチャー方向に膝を出す動きをしながら、ファーストに牽制することで、ランナーが迷いますので是非練習してみてください。ランナーから見ると、膝をキャッチャー方向に向けているのか、一塁方向に向いているのか、正面からだと区別がつきにくいです。膝の角度を一緒にすることで、より走られにくい投球が可能になります。

    (4-5)自由な足の使い方を変える

    一定なリズムで上げていたものを、ゆっくりと上げたり、少し早く動いたりと、リズムを変えます。このリズムを変えることで、ランナーもスタートを切りにくい、バッターもタイミングが取りづらくなります。こちらはすぐにでも取り組めることなので、実際に試してみましょう。

    (5)最後に

    以上が左投手の牽制のテクニックでした。
    牽制をする際に覚えて欲しいことは、「同じタイミングで、同じフォームで投げると、バッターもランナーも打ちやすい・走りやすい」ということです。ですので、自分のリズムを変え、牽制のパターンを増やすことで、バッターもランナーも打ちづらく、走りづらい投手と感じます。1度相手に「嫌だな」と思っていただくだけで、試合で精神的有利に進めることができるので、是非とも練習して取り入れてください。