試合の7割〜8割はピッチャーで決まると言われています。それだけチームを強くするには投手育成は必要なもの。今回は投手を育てるために、どんなポイントをチェックするといいのか、私が指導者として確認しているポイントをお伝えさせていただきます。
全ての投手にあてはまるわけではなりませんが、共通してチェックするポイントがたくさんありますので、参考にしていただけると幸いです。
(1)指導法としての考え方
(2)投球動作のチェックポイント
(2-1)投球相について
(2-2)3.アウトローの練習
(2-3)上記の順序を推奨する理由
(2-4)最後に
(2-5)3.アウトローの練習
(2-6)上記の順序を推奨する理由
(3)まとめ
(4)最後に
(1)指導法としての考え方
投手を指導するにあたり、まず考えなければいけないのは、投手には右利きの選手と左利きの選手がいるということです。左利きの投手の場合、指導者が右利きで「左利きの指導方法は、よくわからない」という方がいます。
しかし、根本的な考え方と知っておいていただきたいのは、右利きでも左利きでも、身体の使い方、股関節の動かし方は、右左逆になりますが、気をつけるポイント・指導するポイントは変わりません。右・左に関係なく、「正しい身体の動かし方ができているか」を指導することが重要です。
(2)投球動作のチェックポイント
今回、私が見ているチェックポイントを投球相別に、下記にまとめさせていただきます。
投球相とは、投球動作を分類して分析する時につかう言葉です。分類・定義にについては色々とありますが、私が今回お伝えするのは、次の通りです。
【投球相について】
1.ワインドアップ期
・・・・投球動作の準備段階で、動作開始から軸足ではない自由の足の膝が一番高い位置にある時までのフェーズ
2.初期コッキング期(アーリーコッキング期)
・・・・ワインドアップ時の膝の一番高い位置から足をおろして、自由の足(前足)が地面に着地するまでのフェーズ。
3.後期コッキング期(レイトコッキング期)
・・・・自由の足(前足)が着地した時からボールをトップに作る(一番後ろに引いた時)までのフェーズ
4.加速期
・・・・ボールをトップに作る(一番後ろに引いた)状態から、ボールが手から離れる(リリース)までのフェーズ
5.減速期
・・・・ボールが手から離れた(リリース)直後から、ブレーキをかけるまでのフェーズ
6.フォロースルー期
・・・・ボールが手から離れて(リリース)から完全に投球動作が終わるまでのフェーズ
(2-1)1.ワインドアップ期
・片足を上げた時、90度以上上がっているか
・前後左右のバランスは均等に保たれているか
・重心の位置は正しい位置にあるか
・(その他)グラブの位置はバランスのとりやすい位置、遠回りしない位置にあるか
ここは投球動作の中で一番重要です。ここのバランスがしっかりと取れているか取れていないかで、コントロールが大きく変わってきます。指導者として注視して見ていただきたいポイントです。
(2-2)2.初期コッキングアップ期
2.初期コッキングアップ期
・ヒップファーストで出ているか
・上体がつっこんでいないか
・軸足ではない自由の足(前足)の出し方は正しいか(下半身、股関節が上手く使えているか)
身体の使い方、股関節の使い方などを身体が理解していないのか、頭が理解していないかが大切になります。この時に軸がブレてしまうと、リリースまでの身体の使い方にロスが出ていることがあるので、注意が必要です。
(2-3)3.終期コッキングアップ期
・足の着く位置がキャッチャー方向に正しく運べているか
・足がついた時に、トップの位置が正しい位置にあるか(投球動作に支障がでていないか)
・下半身がしっかりと粘れているか(股関節の開きが早くないか)
ここでは足の着地時にトップがしっかりと作れているかを確認する必要があります。身体の柔らかさによっては、トップが出来ていなくても、柔軟性によって綺麗に腕が出ている選手もいます。しかしながら、基本的には、前足の着地時にはトップの形ができていることが重要です。
(2-4)4.加速期
・下半身から始動し、上半身へ上手く連動しているか
・リリースポイントまでの腕の使い方にロスがないか
・股関節の回旋が遠回りしていないか
リリースポイントまで、上半身ではなく、下半身始動でうまく連動できているかを確認します。下半身の使い方、連動性を確認します。
(2-5)5.減速期
・上半身だけに頼って投げていないか(下半身が最後まで使えているか)
・バランス・タイミング良く投げているか
前足の着地位置やタイミング、リリースの際のバランスを主に見ています。加速期と連動することが多いので、合わせて確認することが多いです。
(2-5)6.フォロースルー期
・バランスよく下半身が保たれているか
・フォロースルーの腕の位置が適正の場所にあるか
フォロースルーの形やバランスなど、正しい形になっているかを確認します。ここの形が間違った形の場合、フォロースルー前に間違った動作を行なっていることが多いので、遡ってチェックすることが多いです。
(3)まとめ
以上の点を主に見ています。こんなに多いのか!?と驚かれる方がいるかもしれませんが、結構多くのポイントをチェックしながら見ています。そして、1つの動作に違和感(修正ポイント)があった場合、どこの動作が原因でその動作になっているかを探しながら、正しい形を少しずつ修正していきます。注意して欲しいのは、選手は1度に全ては直りません。「このまま投げると怪我をする」という緊急性のあるフォームの場合は、ポイントとなる場所から指導しますが、それ以外の場合は基本的にフォームのバランスを意識してもらいながら修正していきます。口で伝えるよりも、自身の身体で体験し、理解しててもらう方が早いからです。
(4)最後に
フォームは急に変わったりしません。良い投手を育てるためには、それだけ根気と努力が必要です。正しい身体の動きを自身の「経験知」として蓄えていくことで糧となり、成長するきっかけとなります。
投手育成に向けて、少しでも参考になれば幸いです。