少年野球指導者の間違った指導法「上から叩く」「ゴロを打て」について




(1)はじめに
(2)野球少年の夢
(3なぜ間違った指導法なのか
(4)強いチームの育て方
(4-1)基本の徹底
(4-2)好きを最大化
(5)指導者が今一度考えて欲しいこと
(6)最後に

(1)はじめに

今回はこちら、「少年野球の指導者の間違った指導法」についてです。
少年野球をやられている皆さん、「上から叩け」「ゴロを打て」「フライをあげるな」などの指導を受けたことはないでしょうか。
私自身、小さい頃はこういった指導を受けたことがありますが、小学6年生時には、人よりも遠くに飛ばす力があったので、そこまで徹底して言われることはありませんでした。
しかし、中にはチームとして徹底しているところもあるため、改めて指導者としての考え方を見直すきっかけとなっていただければ幸いです。

(2)野球少年の夢

改めて指導者の皆さん、今チームにいる選手たちはどんな想いを持って野球チームに入っていると思いますか?野球を始めた時の想いは、
・野球が楽しそうだから
・友達がやっているから
・野球が好きだから
上記の理由で始めている子どもが多いです。野球を好きで始めて、楽しくなって、もっと上手くなりたいと思い、たくさん練習するようになる。
たくさん練習して、たくさん失敗して、悔しくてまた練習をする。そんな毎日を繰り返して、子どもは成長していきます。

また、野球が好きになって、プロ野球選手やメジャーリーグ選手をテレビや実際に球場で触れ合うことで、「自分もプロ野球選手になりたい」という夢を持つようになり、夢に向かって一生懸命頑張ります。

子供たちに「野球って楽しい?」と聞くと「楽しい!!!!」と返ってきます。
この想いを大切に、大事に育てて欲しい。そんな指導者が1人でも増えることで、野球好きの人々を1人でも増やし、野球界を盛り上げていきたいと考えています。

(3)なぜ間違った指導法なのか

では、なぜ「上から叩け」「ゴロを打て」「フライをあげるな」は間違った指導法なのでしょうか?
それは、「試合に勝つため」の手段を伝えているだけで、「子どもの成長」を一番に考えていないからです。
指導者の中でよくこういった理由で子供たちに説明する方が多いです。
・フライは取って終わりだけど、ゴロは取って投げるので、ミスする確率が高くなるから
・相手がエラーする可能性があるから

大きくこの2点です。この指導ですが、小学生であれば戦略的に間違ってはいません。
体も心も、技術もまだ発達していない子供たちは、ゴロを転がすだけでチャンスが生まれます。試合に勝つ確率を高めるためにこういった指導をする方が多いのですが、これでは1回戦や2回戦は勝てても、優勝を目指すチーム作りはできません。少年野球の強いチームの育て方ってご存知でしょうか?強いチームを育てるポイントとして、考え方が大きく違う点があるのでご紹介します。

(4)強いチームの育て方

強いチームとは、選手が集まるから強いのではなく、指導者が良いから強いチームができるのです。その指導方法は至ってシンプルで「基本」を徹底し、「好きを最大化」してあげることです。

(4-1)基本の徹底

ここの基本は至ってシンプルな考え方です。
走・・・速く走れるようになる
攻・・・強い打球を打てるようになる
守・・・ゴロ、フライを捕れるようになる
投・・・速い球を投げられるようになる
以上の点を徹底することが大切です。そのためには、「正しいフォーム」の習得がチームを強くする近道です。

(4-2)好きを最大化

この言葉は私が勝手につけています。「聞いたことない」っていう人が多いと思いますが、内容は聞いたことがあると思います。
「好きこそものの上手なれ」というコトワザを聞いたことがあるでしょうか?
人間、好きでやっていることは努力もするし、勉強もし、そして考えます。そして、好きなことというのは、「努力をしている」感覚があまりありません。「野球が好きで好きでたまらない」という気持ちを最大限に引き出してあげることがとても大切になってきます。

(5)指導者が今一度考えて欲しいこと

指導者として今一度考えて欲しい点は、「本当に野球が好きですか」という点です。もし「好き」と答えられる人であれば、子供たちがどんなことで喜びを感じ、どんなことで悔しく感じるのか、共感できると思います。その思いを一緒になって感じてあげてください。喜んでいる時は一緒に喜び、悔しい時は一緒に悔しがる。「怒ること」が指導ではありません。あくまでも子どもが主役です。このことを今一度考えて欲しいです。
もし仮に「好きかどうかわからない」のであれば、野球を好きになってみてください。野球経験がない方であれば、草野球でもいいので、まずは野球をやってみてください。実際に試合をすることで、今まで感じていなかったことが感じられるようになります。野球が上手い下手は関係ありません。肌で感じることが重要です。

(6)最後に

日本の宝でもある「大谷翔平選手」が世界でも二刀流で話題になり、「大谷選手になりたい!」という子供たちが増えています。これは私たちにとってとても嬉しいことで、こういったスーパースター選手を目指して頑張りたい!と思ってくれる人が1人でも増えることがとても嬉しいです。
打っては「打球速度175キロ」、投げては「162キロ」、そして走っては一塁到達「3.8秒」と全てにおいて規格外の選手である大谷選手。そんな未来の大谷選手を育成できるように指導者にお願いしたいのは、「目の前の1試合に勝つこと」ではなく、「世界に羽ばたくような選手を育成する」という大きな目標を持って育てて欲しいです。結果は後から必ずついてきます。目先の勝利にこだわらず、また「主役は子どもたち」ということを今一度考えていただけるきっかけになれば幸いです。