【2021秋季東京六大学総括】加藤コーチの感じるまま日記211101




東京6大学野球総括

 母校の慶應義塾大学が2季連続優勝。1991年以来の春秋連覇となりました。今季もアベマTVで解説する機会をいただき、選手たちの成長や、感じたことを記していきたいと思います。※完全に私個人の意見となります。

 

勝負運の強さの慶應

 今季は特に慶應の勝負強さが目立ちました。私が見た試合の中で、1試合だけ勝てる試合を引き分けにし、それ以外は負けてもおかしくない試合を同点・引き分けにする試合が多かったです。今季の優勝に導いたのリードオフマンの渡部遼人くんの活躍なしにはここまで善戦できなかったでしょう。また、選手それぞれが役割を全うし、全員で掴んだ優勝だと感じました。
 
 しかし、今季の選手総力を考えると、正直どこが優勝してもおかしくありませんでした。打力で言うと、明治大学、立教大学、法政大学と、力を持った選手が多く、優勝した慶應義塾大学にも負けず劣らずでした。あくまで印象ですが、打力で言うと明治大学が一番良かった印象です。法政大学も力を持った選手が多かったのですが、シーズン前の不慮の影響で調整不足が否めない結果に。もし順調にシーズンを迎えていたら、このシーズンはもっと横一線の戦いになっていた可能性もあります。しかしながら、今季は成績よりも、不参加で参加出来ないという形にならず、6校で戦えて良かったです。
 早稲田大学ですが、今季は東大相手に23-1,19-0と打線が爆発。8者連続安打も記録し、六大学野球新記録を樹立しました。小宮山監督の采配として、昨季まで打線をほぼ変えずにプロ野球のように固定して挑んでいましたが、今季途中から初の打線入替、固定メンバーを変更したりと変化がありました。この変化が大きかった。この2年間の印象ですと、選手たちのポテンシャルは相当高いものの、成長があまり見えないなと感じていました。しかし、この変化によってチームに新たな風を吹き込み、この2年間で見れなかった早稲田大学を見ることが出来ました。個人的には来季以降の早稲田が脅威に感じます。

新たな東大を見れた

 東京大学については、やはり選手のレベルとしては他校に劣ってしまうものの、今季は1勝1分と大善戦。今までの東大は投打に劣っている印象がありましたが、今季のメンバーは、勝ってもおかしくないメンバーが揃っています。
 投手は140キロ近い球を投げる子が2~3人、今まででは考えられません。また打者としては、上位打線に1発が打てる選手が揃っており、それに加えて機動力野球。この機動力があるだけで東大への脅威は格段と違います。今までにない、新たな東大を見ることができ、昨季まで64連敗という暗黒時代を抜けたかなと思いました。
 これからはいつ勝ってもおかしくない東大が見れそうで楽しみです。ただ、1勝した後の試合が気が抜けてしまったのか、アグレッシブさがなくなってしまったと感じました。「勝ちたい!」という気持ちを前面に出して戦うことで1勝だけでなく、2,3勝と勝てる可能性がありますので、今後の東大に期待です。

 

以下、気になった選手を一言ピックアップ

 ここからは気になった選手をピックアップして、まとめていきます。まずは母校から
【慶應】
森田・・・昨季よりストレートがパワーアップ。しかし、決め球となる変化球がないため、苦しい展開が多かった。
     ストレートも細かいコントロールがまだないので、外角と内角の出し入れできるとよりGOOD。
正木・・・本調子ではなかったものの、やはり4番。持ち前のパンチ力は一級品。プロの世界に慣れて1軍で見たい!
渡部遼・・走・守は一級品。打撃もヒット率が上がり、成長。プロでは更に強い打球を打てるようになると面白い!
増居・・・安定している。最後の慶早戦の緊張する大舞台でいつも通りのピッチングが出来るように!
生井・・・スランプからの脱出。来年は中心人物に。ストレートの勢いが1年生の時の方がいいので、もっともっと
     追求して、更なる成長を!あのストレートが戻ってくると簡単に打たれない!
廣瀬・・・パンチ力はピカイチ!来年は中心人物として、正木のように頼れる4番を目指して!
【早稲田】
西垣・・・プロでも即戦力として通用する力を持っている。プロではコントロールを特に意識が必要。
徳山・・・昨季よりも状態が良く、良い時に戻ってきている。好不調の波が激しいので、自分の軸を作り、
     どこを意識したら状態が上がってくるのかを意識して。
熊田・・・守備は上手いものの、まだ一級品の投手たちにアジャスト出来ていない。一回り以上の成長が必要。
蛭間・・・パワーは一級品。同じように抑えられている印象があるので、苦手の克服が急務。
今井・・・本当に素晴らしかった!以上!
【明治】
宗山・・・守備よりも勝る打撃センス。球際が弱いので、来年に向けて練習し、ワンランク上がった姿を期待。
上田・・・パンチ力GOOD。4番として三振率減、ミート率アップが課題。
蓑尾・・・来年が最終学年。今季の成績を維持し、どこまで打率を伸ばせるか。
丸山・・・長所を活かして、ヤクルトでも活躍を期待しています!
【立教】
池田・・・フォームがはまった時とそうでない時の差がはっきり出ているので、好不調の波を小さく。
宮・・・・立教で一番力のあるピッチャー。個人的には先発完投して欲しい。
井上・・・来年の中心人物。今季の打撃を維持し、来年以降中軸を担う選手として期待。
黒岩・・・井上同様、来年の中心人物。2人がチームの中心になること間違いなし。更なる成長に期待。
【法政】
齊藤・・・来年の4番候補。ポテンシャルは相当高いので、今季のようなバッティングを維持して。
山下・・・レベルとしては申し分なし。今持っている力に更なるパワーアップをしてヤクルトでの活躍を期待!
西村・・・1年生として良い経験をしたこのシーズン。打力・ミート力アップをして来季に期待。
投手陣・・三浦、山下の抜ける穴をどう埋められるか。打者は残っているので、投手陣に期待!
【東大】
井澤・・・試合を作るか作れないかで東大に勝ちを持って来れるか決まる。エースとして自覚を持ってプレーを。
西山・・・来年からフル稼働が期待される。井澤選手同様に、1点でも少なく、勝てるチャンスを作れるように!
松岡・・・バッティングが更に良くなると強みを増す。来年は中心人物として期待!