フライボールレボリューションは裏方が起こした革命




本日から2回に渡ってフライボールレボリューションについての見解を発表します。フライボールレボリューションとは簡単に説明するとゴロよりフライを打つことを重視する打撃理論です。この打撃理論が浸透するに連れてMLB全体の本塁打数は2015年4909本、2016年5610本、2017年6105本と驚異的なペースで増え続けています

(1)フライボールレボリューションは分析から誕生した
(2)守備シフトがフライボールレボリューションの浸透を後押しした
(3)NPBでも浸透しつつあるフライボールレボリューション
(3-1)フライボールレボリューションで不振を抜けだした柳田悠岐選手
(3-2)フライボールレボリューションを30年前から実践していた落合博満さん
(4)フライボールレボリューションは全ての打者に有効ではない
(5)それでも私はフライ打ちを指導します

(1)フライボールレボリューションは分析から誕生した

フライボールレボリューションが現役の選手たちからではなく、データ分析から誕生したと知った時は非常に驚きました…! MLBでは常日頃からアナリスト達がスタットキャストと呼ばれる機器を活用して、選手やボールの動きのデータを高速・高精度にに分析しています。分析を進めていく中、バレルゾーンと呼ばれるヒットが発生しやすい部位を発見しました。このバレルゾーンの発見により飛躍的に長打・本塁打が爆増しました。まさにフライボールレボリューションは裏方が起こした革命だと言えるでしょう。

※【補足】バレルゾーンとは?
ホームランになりやすい打球速度と打球角度の組み合わせ。打球速度158km以上でなおかつ打球角度が30度だと8割の確率でヒット、その多くがホームランになる。

フライボールレボリューションはデータを理解しながら野球に取り組む重要性を教えてくれる好例です。アナリスト達がデータを提示することで、プロ野球選手たちの技術進化を促す。感覚・経験則だけでなく、科学的に野球に取り組むことの素晴らしを教えてくれます。

(2)守備シフトがフライボールレボリューションの浸透を後押しした

守備シフトでアウトを増やす戦術が増加したことも、フライボールレボリューションの浸透を後押ししました。MLBでは近い時期に各打者のゴロ・ライナーの打球方向のデータから、日本よりも大胆な守備シフトを敷きます。打席によっては三塁をガラ空きの状態にして、二遊間を3人で守ったりも。一見、奇策にも見えますが効果は高く20年連続で負け越していたピッツバーグ・パイレーツが採用したところ、2013年にはシーズン勝ち越しと共にワイルドカードでのポストシーズン進出を果たしました。そこで打者たちは「守備シフトでアウトにされてしまうなら飛び越す打球を打てばいい」と考えたのです。

(3)NPBでも浸透しつつあるフライボールレボリューション

NPBでも既にフライボールレボリューションを実践している選手が存在します。

(3-1)フライボールレボリューションで不振を抜けだした柳田悠岐選手

 NPBではソフトバンクホークスの柳田悠岐選手が2017年から、フライボールレボリューションに取り組み話題を集めました。シーズン序盤、柳田選手は極度の打撃不振に陥ってました。これは本拠地であるヤフオクドームの人工芝の張替えが行われためゴロの勢いが芝に吸収されやすくなったことが要因の1つだと考えられます。柳田選手は川崎宗則さんの「フライを打て」というアドバイスを受けてから、見事に打ち始めました。打球傾向もガラっと変わりゴロが減った代わりに、フライが急増しました。

(3-2)フライボールレボリューションを30年前から実践していた落合博満さん

 三度の三冠王を達成した落合博満さんはなんと、30年前からフライボールレボリューションを実践していたと言われています。落合さんは現役時代、トスバッティングの際はボールの下部を叩き、回転を掛けてフライを打ち上げる練習をひたすら行っていたとのこと。専門家から「バットにボールを乗せる」と称された落合さんのバッティングはまさにフライボールレボリューションを実践していたと言えるでしょう。

(4)フライボールレボリューションは全ての打者に有効ではない

打者に素晴らしい結果をもたらしてくれるフライボールレボリューション。残念ながら私は全ての選手にフライボールレボリューションが効果的だとは思いません。まず全ての打者がバレルゾーンで求められる打球速度158kmを実現することができでしょうか?おそらくプロのカテゴリーでも難しいでしょう。

(5)それでも私はフライ打ちを指導します

バレルゾーンを満たす要件の関係もあり私は少年野球などではフライボールレボリューションは実現不可能でしょう。ただ、それでも私が子どもたちを指導する際はフライを打つように指導します。それは何故か?次回更新で解説させていただきます。