本日は夏の甲子園での高校球児の「投げすぎ問題」について私の意見を発表できればと思います。毎年、夏になるたびに各高校のエースがチームのためにマウンドで投げ続けて感動を巻き起こし一方、「投げすぎ問題」のせいで未来ある高校球児の肩・肘に深刻な怪我を負う可能性を拭えないですよね…。私が本記事を執筆している2018年も金足農業の吉田輝星投手が連日の投球で日本中の野球ファンを魅了した一方で、夏の最も熱い時期に連投させ続ける様が米国では「虐待」と報じられたのは記憶に新しいです。果たして、この問題は解決することができるのでしょうか…?
(1)【プレイヤー目線】一生に一度きりの晴れ舞台で投げられない方が辛い
(2)【指導者目線】 どう見ても異常事態
(3)高野連が仕組みを変えない限り、永遠に解決できない
(1)【プレイヤー目線】一生に一度きりの晴れ舞台で投げられない方が辛い
まずはプレイヤーでの目線での意見です。夏の甲子園は一生に一度の大舞台ですから、球児達は無理をしてでも投げることを止めないでしょう。投げすぎたせいで選手生命が断たれてしまう致命的な怪我を負ってしまったとしても後悔しないと思います。殆どの高校球児が夏の甲子園で投球できないまま、一生を終えます。それこそプロ野球で活躍する名投手でも甲子園を経験していない場合もあります。高校球児にとっては一生に一度切りの晴れ舞台で投げれる喜びのほうが大きいのです。
夏の甲子園ではありませんが、私も大学生活最後の早慶戦で3連投して沢山の球を投げましたが一切、後悔はありません。一生に一度切りの晴れ舞台でしたらから、何球でも投げるつもりでした。後から「辛くなかったか?」と聞かれることがありますが一切、辛くありませんでした。一生に一度切りの晴れ舞台で投げられないで後悔する方がプレイヤーにとっては辛いのです。
(2)【指導者目線】 どう見ても異常事態
続いては指導者目線での意見です。夏の甲子園での連投は高校球児の選手生命を考えると絶対に良くないですし異常事態です。投手の肩と肘は消耗品なので、無理な連投を続けさせるということはそれだけ選手生命を縮めることを意味します。
ここでこれまでの甲子園の投球数ランキングを見てましょう。
斎藤佑樹(2006年 早実) | 7試合948球 | 1試合辺り約135球 |
吉田輝星(2018年 金足農業) | 6試合878球 | 1試合辺り約146球 |
川口知哉(1999年 平安) | 6試合820球 | 1試合辺り約136球 |
今井重太朗(2014年 三重) | 6試合814球 | 1試合辺り約135球 |
島袋洋奨(2010年 興南) | 6試合783球 | 1試合辺り約131球 |
大野倫(1990年 沖縄水産) | 6試合773球 | 1試合辺り約128球 |
松坂大輔(1998年 横浜) | 6試合767球 | 1試合辺り約127球 |
甲子園という短い期間で明らかに投げ好きです。プロ野球選手の先発投手が1試合で100球程度という現状と比べても、如何に高校球児達の肩・肘にダメージを与えられているのかかがよくわかります。しかも真夏の炎天下という過酷な状況です。プロ野球選手よりも短い登板感覚で、プロ野球選手以上の投球数を、プロ野球選手よりも過酷の環境で投げることになるので米国メディアから「虐待」と報道されても何も言い訳はできません。
(3)高野連が仕組みを変えない限り、永遠に解決できない
結論をお話すると高野連(日本高等学校野球連盟)が日程/開催時期/開催場所/ルールを含めた条件を調整し直さない限り、高校球児の「投げすぎ問題」は永遠に解決されません。プレイヤー目線の項目で書かせていただいた通り、高校球児は一生に一度しか無い晴れ舞台だから無理をしてでも投げようとします。指導者達が第2先発制度の導入や、球数制限を設けたとしても選手層が分厚い強豪の私学に有利になるだけなので不公平感を強めるだけで根本的な「投げすぎ問題」の解決には繋がりません。十分な登板感覚を与えられる日程にするために高野連が、甲子園球場とNPBと議論することで根本的な解決を図ること以外には解決方法は無いでしょう。