改めてリクエスト制度を検証する




皆様、2018年のプロ野球はいかがでしたか?12球団、それぞれ素晴らしいプレーを見せてくれましたよね。今年のプロ野球で大きく変わった事と言えば「リクエスト制度」の導入ではないでしょうか。リクエスト制度が導入されたことで試合観戦をしていて判定を不服に思うことが減ったのではないでしょうか?そこで改めてリクエスト制度について整理してみましょう。

(1)リクエスト制度の原型となったMLBのチャレンジ制度
(1-1)MLBでのチャレンジ制度の概要
(1-2)チャレンジ制度の原型はアメリカンフットボールから
(2)NPBのリクエスト制度について
(2-1)NPBのリクエスト制度の概要
(2-2)満を持して2018年からリクエスト制度が導入された
(2-3)リクエスト制度はまだまだ改善可能点がある
(3)判定の精度を向上する努力が続けられている

(1)リクエスト制度の原型となったMLBのチャレンジ制度

まずはリクエスト制度の原型となったMLBのチャンレジ制度について解説します。MLBでは2014年からチャレンジ制度が導入されました。導入された経緯が非常にユニークで誤審による野球ファン離れを防ぐために制定されました。

(1-1)MLBでのチャレンジ制度の概要

MLBでのチャンレジ制度は審判の判定に異議がある場合、6回までに1回。7回から試合終了まで2回ビデオ判定を要求することができます。2分以内に検証を済ませます。異議が認められて判定が覆った場合は2回までを条件にビデオ判定を要求できます。しかし判定が覆られなかった場合はビデオ判定の権利を1回失います。

(1-2)チャレンジ制度の原型はアメリカンフットボールから

チャレンジ制度はアメリカンフットボールのNFLを参考に誕生しました。NFLのチャレンジ制度の対象は得点、ターンオーバー、パスの成功などプレーの成否に関わる事項です。NFLでは審判の判定に不服がある場合、赤いフラッグをフィールドに投げ入れて1試合につき3回までビデオ判定行うことができます。ただし3回目の権利の行使はそれ以前に2回続けてビデオ判定に成功していないと行うことができません。仮に判定が覆らなかった場合、権利を1回失うだけでなくタイムアウトの権利も1回分失います。

(2)NPBのリクエスト制度について

続いてはNPBのリクエスト制度について解説します。

(2-1)NPBのリクエスト制度の概要

2018年からNPBで導入されたリクエスト制度はMLBのチャレンジ制度に非常によく似ています。各チーム9回までに2回、延長戦に入った場合は新たに1回デオ判定を申請できます。5分以内に検証を済ませます。異議が認められた場合は、ビデオ判定を申請できる権利は2回のままですす。判定通りの場合はビデオ判定の権利を1回失います。NPBでのリクエスト成功第1号は千葉ロッテマリーンズの井口監督です。

(2-2)満を持して2018年からリクエスト制度が導入された

これまで12球団監督からリクエスト制度の導入を要望する声が多く寄せられていました。しかし審判側の「ビデオ判定に頼るのは技術向上に逆行する」という声から、長らく導入が見送られていました。

(2-3)リクエスト制度はまだまだ改善可能点がある

リクエスト制度は公平感を増す素晴らしい制度ですがまだまだ改善可能点があります。大きなところではビデオ判定するための設備でしょう。NPBではビデオ判定を行う際はテレビ中継用の映像を使います。一方、MLBでは正確な判定を行うために各球場のカメラを増設しました、総工費10億円以上とも言われる各球場の映像を一括管理するニューヨークのリプレイセンターであらゆる角度から検証しながら当該球場の審判達と連携を取ります。MLB側のほうが明らかにビデオ判定を行うための素材が優れているので、NPBもこの点は取り入れて欲しいです。

(3)判定の精度を向上する努力が続けられている

本日、ご紹介したリクエスト精度以外にもNPBでは審判の判定の精度を向上させるための取り組みが行われてます。2017年11月には審判員のストライク/ボールの判定について、投球の軌跡を精確に測定できるトラックマンを活用することで事後検証を行い更なる技術向上を目指すことを確認したとのことです。