練習量はチームによって違います。土日のみのチームもあれば、毎日練習をするチームもあり、各チームの方針によって様々です。「うちのチームは練習が足りないんじゃないか」と考えているチームの指導者向けに、練習による怪我のリスクについてお話させていただきます。
(1)参考資料
(2)練習日による怪我のリスク順位
(3)考察
(3-1)やりすぎはよくない
(3-2)やらなさすぎもよくない
(4)まとめ
(1)参考資料
今回の資料については下記3団体の平成 26 年度少年野球(軟式・硬式)実態調査 調査報告に基づくものとなっています。今回は小学生のみの対象で、n数=10228とかなり精度の高いものとなっています。
・一般財団法人 全日本野球協会
・公益社団法人 日本整形外科学会
・一般財団法人 運動器の 10 年・日本協会
(2)練習日による怪我のリスク順位
さてみなさん、今から1つ考えていただきたいことがございます。
週に何回練習すると怪我をしやすくなるのか。今から6つの選択肢がありますので、順位を自分の中でつけていただけるとよりわかりやすいかもしれません。
①土日のみ(週2日) ②週3日 ③週4日 ④週5日 ⑤週6日 ⑥毎日(週7日)
さて、どうでしょうか?怪我をしやすくなる順番に並び替えられたでしょうか?すぐ下に答えがあるのでスクロールする前に少し考えてみてください。
それでは怪我をしやすい順に答えを発表します。
⑥毎日(週7日)>⑤6日>①土日のみ(週2日)>・・・・・③週4日>④週5日>②週3日
いかがでしたか?みなさん予想通りでしたでしょうか。ちなみにですが、①土日のみ(週2日)と③週4日との差は大体4.5ポイントあるため、ここに大きな怪我の原因があると思います。
(3)考察
こちらの結果を受けて「ふーん、そうなんだー。」と感じるだけの人もいるしれませんが、こちらでわかることが2つあります。
(3-1)やりすぎはよくない
こちら、当たり前に言われていることですが、やはり練習のやりすぎは怪我のリスクを高めることになります。特に毎日の練習となると、怪我のリスクが週3日の練習に比べて約10ポイント高まります。
リスクがそれだけ高い分、普段から完全に体を休ませること、練習前練習後のケアを十分に行うことがとても重要となってきます。
(3-2)やらなさすぎもよくない
みなさん、1つ驚かれたかもしれませんが、土日のみの練習・試合だと、リスクが週6日練習の次に高い数値が出ています。
こちら、私が指導していて特に感じることなのですが、土日の練習となると、半日練習(試合)、または1日練習(試合)と体をフルに動かすと思います。平日、身体を動かす機会が少ない場合は、日曜日に動いてから中5日空いた状態で身体に負荷がかかることとなります。
少し間が空いた状態で、いきなり全力で投球したり、バットを振ったりすると、身体に急激な負荷がかかり、故障の原因となるのではないかと感じています。
1週間のうちに1日でも練習をして身体を動かす機会を作っていれば、身体への負担が軽減し、土日の練習(試合)に負荷が下がるのではないかと考えらえれます。
※こちらはあくまで結果に対する考察と、自身が指導している中で感じている内容から憶測しています。もちろん、この憶測が正解か不正解かはわかりません。
(4)まとめ
以上の結果から、野球をする小学生の子供たちには、怪我のリスクを抑えるために、週の平日に1度はボールを触る、練習をする時間を与えてあげて欲しいと感じました。
そして、改めて土日のみで活動している選手たちには、怪我のリスクが高まることを十分に認識し、週に1度は自発的に練習が行われるように伝えていきたいです。
もう1つ、環境によって毎日練習をしているお子さまには、怪我のリスクが一番高いことを認識してもらい、身体のケア、正しい身体の使い方を覚えることが、怪我のリスク軽減にはとても重要だということを理解していただきたいと思いました。