サイドスローとは?地面と並行に腕を振り抜く、真横から投げる投法




今回もピッチングフォームについて解説します。皆様は真横から投げる投法「サイドスロー」をご存知でしょうか?投球フォームをサイドスローにしている投手が少ないことから、初見の際はとても驚かれることでしょう。オーバースローやスリークオーターと比較すると独特な軌道を描く投法です。

(1)サイドスローの独特な軌道が打者を幻惑する
(2)サイドスローに適した変化球
(3)他のフォームからサイドスローに転向する場合もある
(4)サイドスローの名手

(1)サイドスローの独特な軌道が打者を幻惑する

サイドスローは角度のついたボールで相手打者のタイミングを外します。例えば右打者が、右サイドスロー投手と対戦する際には角度のついた球に驚くことでしょう。

NPBの世界では左サイドスロー投手が「左のワンポイント」として活躍するケースがあります。サイドスローから放たれる球はまるで背中に襲いかかってくるように体感させられるとのこと。過去には阪神タイガースの遠山奬志さんが左のワンポイントとして、全盛期の松井秀喜さんを完璧に抑え込んでいました。

(2)サイドスローに適した変化球

横回転のサイドスローだとスライダーや、カーブといった横に動く変化球がさらに活きてきます。特にスライダーを決め球にしているサイドスロー投手は非常に多いです。

アンダースローとは異なりフォークなどの落とす球も投げることは可能です。実際、東京ヤクルトスワローズの館山昌平はサイドスローですが、フォークも多投しています。ただし、習得のためには手首の柔軟性や、握力の強さを求められます。

フォークの習得難易度が高いことから、落とす球としてシンカーを習得するケースが多いです。特に右サイドスロー投手は左打者に対しては球の出所が見やすいことから、対策として利き腕方向に曲がるシンカーを習得するようです(もちろん逆も然りです)。

(3)他のフォームからサイドスローに転向する場合もある

最初はオーバースローやスリークオーターで投げていた投手が、サイドスローに転向する場合が結構あります。練習を積み重ねた結果でサイドスローの適正に気づいたり、今までの投球フォームに限界を感じて転向するようです。なお、ダルビッシュ有投手の様にサイドスローから、スリークオーターに変更する場合もあります。

(4)サイドスローの名手

・宮西尚生(北海道日本ハムファイターズ)

北海道日本ハムファイターズの宮西投手は、日本を代表する左サイドスロー投手の一人です。セットアッパーとしての実力は折り紙付きで2017にはWBC侍ジャパンのメンバーに選出されました。特筆すべきタフネスを持ち史上40人目となる「600試合登板」、2018年には「史上最多ホールド」を記録。独特のフォームから繰り出されるストレート、スライダー、カーブでボールにバットを触れさせません。

・秋吉亮(東京ヤクルトスワローズ)

近年は成績不振で調整中ですが、東京ヤクルトスワローズの秋吉選手は右サイドスロー投手の名手の一人だと言えるでしょう。2015年は球団記録となる74試合に登板して22ホールドを記録。2016年にはシーズン途中からクローザーに転向。入団3年目にして通算200登板を達成。2017年にはWBC侍ジャパンのメンバーにも選ばれました。最速150kmのストレート、スライダー、チェンジアップ、シンカーの組み合わせで打者を抑えます。